'10読書日記58冊目 『経済学批判』マルクス

経済学批判 (岩波文庫 白 125-0)

経済学批判 (岩波文庫 白 125-0)

364p
総計17931p
そうか、まだこの段階では剰余価値の分析にまでたどり着いてはいないのか。とはいえ、『グルントリッセ』の消費/生産に関する分析では、剰余価値の創出への鍵となるアイデアが胚胎されているといえるかもしれない。すなわち、消費と生産の二重性である。ここから労働力商品の二重性へと行き着くことはたやすいだろう。等価交換が剰余価値を生み出すという不思議。
『経済学批判』では、商品の分析を『資本論』よりも精密にじっくりとやっているという印象。交換価値が一般的労働時間を表すのに対して、使用価値が各人の特定の欲望と合致するものでなければならない、という商品の二重の性質が持つアンチノミー。そして、そのアンチノミーの解決として存在する貨幣。『経済学批判』の後半は、経済学における貨幣学説を追っていくことになる。