'11読書日記6冊目 『日本経済論』松原隆一郎

日本経済論 「国際競争力」という幻想 (NHK出版新書)

日本経済論 「国際競争力」という幻想 (NHK出版新書)

272p
総計2027p
本書は、朝日新聞での筆者の論壇時評を再構成・再編集して作られている。小泉改革は実は、ネオリベ的な自由主義というよりもむしろ、「国際競争力という幻想」を追い求めた重商主義ではないか、という大胆な(しかしそれでも説得力はある)テーゼを中心に、金融危機から現在までの時事論壇を横断的に批評している。経済思想史から現代を振り返る非常に興味深い新書になっている。しかし、読んでみて思うのは、論壇というものがいかに曖昧でブレのあるものか、ということだ。08-10年までの三年間を振り返るのには適切な一冊。