'11読書日記9冊目 『ジャン・ジャック・ルソー問題』カッシーラー

ジャン=ジャック・ルソー問題 (みすずライブラリー)

ジャン=ジャック・ルソー問題 (みすずライブラリー)

110p
総計2551p
I先生に頂いたので早速読んだ。短い論文ではあるが、大変に濃密で興味深い。まさに「ルソーをカントから読む」ということなのであろうが、それは面白い試みで説得的でもあるのだが、印象としてはカント過ぎるルソーを感じてしまった。いや、それほどルソーを読んでるわけではないのですが。
カッシーラーは、これまで(1932にこの論文は書かれた)ルソーが体系的・統一的に読まれてこなかったと指摘する。様々な研究書はあるがどれもルソーを一貫性のあるものとして読めていない、というのだ。それをカッシーラーは「ジャン・ジャック・ルソー問題」と指摘するのである。
この「問題」はおおまかに言えば、三点ある。(1)『不平等起源論』と『社会契約論』の間の亀裂をどう評価するのか、(2)ルソーは神義論をいかに解決したのか、(3)ルソーの「感情」とはなんなのか。カッシーラーはこの三点の問題を解決していくことで、ルソーを体系的に立体化してみせるのだ。