'11読書日記15冊目 『カント哲学』ジャン・ラクロワ
- 作者: ジャン・ラクロワ,木田元,渡辺昭造
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1971/08
- メディア: 単行本
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総計4153p
小著ながら、カント哲学の肝となる部分を全体的な見通しをつけながら明かしていこうとする好著。多少実存主義っぽくカントを位置づけてるところもないことはないが、明晰に書かれていると思う。特にカントが分裂を引き起こしたといわれる感性界と叡智界の二元性をカントが統一するすべをいかに模索していたのかということについて勉強になる。誤解を招く表現であると筆者が言う「実践理性の要請」がカント読解の肝になってくるだろう。
ところでカントの『遺構opus postumum』はどうやら相当面白そう。だってこんな表現があるらしいのだ。
おお、人間よ、汝は何を起源とするのか。汝は神たるにはあまりにも善良にすぎ、偶然たるにはあまりにも悪にすぎる。