楽園

冬の名残の冷たい雨に そっぽを向いていた 
一人の少女が 空気を求めて
やっと顔を上げる
そこは楽園ではない


涙などいらぬ 別れの言葉などいらぬ
誰にも愛されなかった男は
禿げ上がった頭を抱えて
ここにも天国はなかった


今もうすぐに 誰かに殺されてしまいたい
桜が咲く前に
あの馬鹿馬鹿しい陽気が
私を窒息させる前に


ここは楽園
あなたが愛した墓場
息を引き取ると言って
死んだものらの愛