詩みたいなの

冷蔵庫に何日もそのままの 洋梨を、熟しきっていまにも朽ちそうなそれを 僕はじっと見つめていた

夜の街路をマスクもしないで 駄目じゃないか、ここはひどく臭う 泥がはねないように歩け 生きている者らを起こしてしまわないように 全てが、一切のものが、分裂する 君より何年も先に始まっていたのに 誰も注意しない この物音が聞こえないのか 窓のない部…

Ongaku

何を言っても虚しいときに 僕は音楽を聞く ピアノと歌声だけのあなたの音楽 喉の奥に胃酸がこみ上げてきて 嘔吐くことを予感する その時に鳴っているのもあなたの音楽 いつでも寄り添ってくれた人を どこかにうしなくしてしまって 沈んだ夜の慰めの 音が鳴り…

暑い

昔、高校生のころ、こんな歌を作ったことを思い出しますた。 クーラー壊れてしまいますた 脱いでも立たない哀しみを メカマラデカマラシンコペーション お父さんお母さん、僕は相変わらず元気です。

新しい朝に

朝目覚めるとインターネットのニュースサイトに彼の名前があった。何でも、電車の中で高校生に痴漢をしたのだという。彼のパソコンからは何千もの幼児性愛の動画や画像が発見されて、彼が痴漢した相手は苦しみに悶えて自殺をはかりそうになったのだという。…

living dead again

ゾンビさながらに 僕は生きながら死ぬ 誰かの思い出の中で 生きながら死ぬ 春風が過ぎ去ったあとで 放埒になる 誰かの糞のあとで 惨めに生きる 僕だけが 君だけが 僕を救ってくれて 君はただ 君もただ 僕を戒める お説教はごめんだ 生きて死にゆく人々 虐げ…

everyday people

正しい時もあれば間違う時もある 信じてきたことを歌ってきたんだ 屠殺者、銀行マン、ドラマーetc 何に属してるかで違いがあるわけじゃない 僕はエヴリデイ・ピープル 青い眼をした人は 緑色の服を着た奴を受け入れない そんな緑と一緒に住んでる黒人は 痩せ…

Hard Times

Tis the song,the sigh of the weary, Hard Times,hard times,come again no more Many days you have lingered around my cabin door; Oh hard times come again no more.

楽園

冬の名残の冷たい雨に そっぽを向いていた 一人の少女が 空気を求めて やっと顔を上げる そこは楽園ではない 涙などいらぬ 別れの言葉などいらぬ 誰にも愛されなかった男は 禿げ上がった頭を抱えて ここにも天国はなかった 今もうすぐに 誰かに殺されてしま…

AM5時

僕の夜と誰かの朝が交わってゆく 味噌汁の朗らかな湯気、光る白い米 どこかで誰かが朝飯を食べている それを夢想しながら 僕はアルコールを飲む、AM5時 鬱々と夜更かしをして 白んできた空にうんざりするが その同じ空を誰かが 始まりの合図としてに豊か…

heart of the midnight

いま詩を書こうと思ったのだけれど どういうわけか僕には書くべき 言葉が見つからない 君に伝えるべきことは何もない誰に向かって言葉を? 小銭でも貰えるならまだしも 見捨てられた言葉をつむいで 何も伝えたくないのに偽って君に、そう、君に 受け取っても…

詩篇

言葉は沈黙に負けつづける。沈黙が詩篇となって僕らに降り注いでいる。詩人は沈黙を言葉にする。沈黙は言葉に変えられたときから、本当であることをやめ、その人の幻となる。「本当のことを言おうか」と誰かが切り出すとき、いつもそのあとに続く言葉は本当…

肉体労働

肉体労働彼女が詩をつくりなさい、と言ったので わたしは午睡をやめ 裏庭に出た 納屋にあるシャベルを持ってきて おごそかな気持ちで 昨日の雨に 軟らかくなった土を掘り返す 彼女が炊事をしているとき 春の陽ざしに 少し汗ばみ 肉体労働にも飽きたわたしは …