Ongaku

何を言っても虚しいときに
僕は音楽を聞く
ピアノと歌声だけのあなたの音楽


喉の奥に胃酸がこみ上げてきて
嘔吐くことを予感する
その時に鳴っているのもあなたの音楽


いつでも寄り添ってくれた人を
どこかにうしなくしてしまって
沈んだ夜の慰めの


音が鳴り止んでも
あなたがピアノの前に座って
息を潜めているのを 


僕は知っている
それは音にならない
あなたの音楽