'11読書日記26冊目 『自然の観念』R・G・コリングウッド

自然の観念

自然の観念

292p
総計7937p
ヨーロッパ哲学――とくに宇宙論(Cosmology)――がどのように自然を捉えたのか、その歴史を追っていく。観念の歴史(History of Ideas)グループとの関連は分からないが、Preston Kingという人が編集した"The History of Ideas"(1983)という本の中に、オークショット、ラブジョイ、シュトラウス、スキナーと並んで一章が割かれているので、それと目してもいいのだろう。そのものずばり『歴史の観念』という本もある*1コリングウッドは、ヨーロッパ思想史上、自然観が大きく三つの発展段階に基づいているとして議論を進めていく。古代ギリシア、16-17Cルネッサンス、20Cの現代物理学の三つがそれである。ラブジョイに比べてキリスト教神学や中世への目配りが弱いが、その分あまり議論は錯綜してはおらず、比較的分かりやすい。

*1:たまたま検索して見つけた「思想史の中の history と theory、ときどき nature...」 は方法論の議論ながら/であるがゆえに考えさせられるというか、ラブジョイやコリングウッド、あるいはフーコー、ポーコック、スキナーらのような仕事を目指すのではないにせよ、示唆的で大きすぎる問題をはらんでいる。