'11読書日記51冊目 『号泣する準備はできていた』江國香織

号泣する準備はできていた (新潮文庫)

号泣する準備はできていた (新潮文庫)

233p
総計15834p
この短編集は、どうとも言いがたい感情を描く、描ききる。だが、一言多い、そのように思えて仕方ない。短編の難しさは、あざとさが見えてはいけないことだ。本書に収められたいくつかの短編――「じゃこじゃこのビスケット」や「熱帯夜」「こまつま」――はこれを満たしているように思える。が、肝心な所がどこか違う。「溝」や「どこでもない場所」がそれだ。特に「溝」は、妙にあざとい。「スウェットスーツ」などはなくても、というか無いほうが、全く素晴らしい短編になり得ていただけに非常に残念であるとしか言えない。光野桃というアホ丸出しの作家風情がクソみたいな解説を書いており、それも残念の極みだしか無い。江國香織とは所詮その程度の作家なのだろう――辻仁成と共作するような。