'12読書日記40冊目 『ドイツ歴史の旅 増補』坂井栄八郎

ドイツ歴史の旅 (朝日選書)

ドイツ歴史の旅 (朝日選書)

292p
総計10969p
もうすぐドイツに行くということもあり、bookoffで100円で見つけたので購入。筆者の専門は18世紀ドイツ史で、修論でも勉強させてもらった((1996) 「十八世紀ドイツの文化と社会」成瀬治他(編)『世界歴史大系 ドイツ史2―1648年〜1890年―』山川出版社, 141-179)。「歴史の旅」というだけあって、ドイツを縦横に移動しながら街の歴史や風情を描写する紀行文のようなものになっており、単純に読みものとして面白い。通読して分かることは、ドイツがいかに分裂と統合を繰り返してきたのかという歴史である。世界史の知識として領邦国家の事実を知っていても、島国日本と違って地続きの国境を持ち、多民族とは言わないまでも様々な地域がそれぞれに自立して存在していたところから、それをヨーロッパ他国への対抗のために結集していくということの「無理」が歴史を動かしてきたということが分かる。もちろん、そんな堅苦しいことばかりではなく、歴史家の目線からフランクな文体で綴られる「歴史の旅」にはロマンや情緒があふれていて、ドイツへの出発が楽しみになった。