'12読書日記52冊目 『象は鼻が長い』三上章

象は鼻が長い―日本文法入門 (三上章著作集)

象は鼻が長い―日本文法入門 (三上章著作集)

270p
総計14451p
日本語の文章で頻出する「〜は」という助詞はこれまで「主語」を意味するものとして考えられてきたが、筆者はそれを徹底して批判する。筆者によれば、「は」は本務と兼務を持っている。兼務というのは、「は」を用いて書かれた文は「〜こと」と変換し直すことが可能であり、そのとき「は」は「の」や「が」「を」などの別の助詞に置き換わる。例えば「象は鼻が長い」は「象の鼻が長いコト」といった具合である。それに対して本務の方は、提題、すなわち「〜については」ということに尽きるのである。その意味で、筆者は「は」を主語とみなすことに徹底して反論するわけである。
大澤真幸はこの本を引用しつつ以下の本で、更に興味深い議論を展開していた。
社会は絶えず夢を見ている

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