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下の本のあとがきのところに、『精神現象学』に感動して哲学の道に進むことになった、という風に書いてあった。僕は今カントを研究しているけれど、カントに感動したからやり始めたわけじゃないしなあ、というちょっとした意味の分からない引け目を思う。s君はルーマンに感動したからルーマンをやっているのだろうか。別に研究し始めた動機が感動である必要はないのだけれど。
感動した本、といってすぐに思い出すことができるのはやっぱり大江健三郎『個人的な体験』と『万延元年のフットボール』、ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』と『不滅』である。俺は小節にしか感動しなかったのか、と少し驚いた後思い出すのは、おそらく大学二年生の頃に大江やクンデラとともに読んでいた大澤真幸『恋愛の不可能性』であり、ハンナ・アレント『人間の条件』なのだろう。これらの本を並べてみるとばらばらで取り留めもない感じがするけれど、自分の思い出のなかでは確かに結び付きが強くある。懐かしいなあーん。その頃とは考えることの内容もだいぶ変わったと感じるこのごろ。
今日は『精神現象学』読書会でレジュメ担当。いよいよ教養のところまできた。