'13読書日記1冊目 『ホッブズの政治学』レオ・シュトラウス

ホッブズの政治学

ホッブズの政治学

301p

新年一冊目は初めてのシュトラウスホッブズの政治思想を発達史的な観点から説き起こし、彼の政治学が「自然科学」的な影響のもとにあったとされてきた通説を批判しようとする。プラトンアリストテレスらの議論を参照しつつ、ホッブズがどの点で伝統的な哲学の図式と決別しているのかを明らかにする。僕はなんとなく、シュトラウスは秘教的なテクスト読解を求めた、みたいなことをイメージしていたのだが、思っていたより遥かに明晰な論理の運びである。重複が多いところもあるが、ホッブズの政治思想の根幹にある人間の自然本性を虚栄心と恐怖に見定めたところ、そしてホッブズが目論んでいたのは規範そのものの議論ではなく、その応用性であったということ(最悪の自然状態からでさえ国家は設立される)、勉強になることが多かった。
付録には、シュミットの『政治的なるもの』の注解がついており、そちらもホッブズとの対比からシュミットが読み解かれており、シュミットの自由主義批判の射程を明らかにしている。シュミットの自由主義批判は自由主義の地平で為されている、との指摘は、シュミットを参考にしつつ闘技民主主義を論じる人々にも当てはまりそうな気がする。