'13読書日記21冊目 『人間機械論』ド・ラメトリ
- 作者: ド・ラ・メトリ,杉捷夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1957/03/05
- メディア: 文庫
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ラ・メトリにとって、自然は第一原因なしに第二原因のみで成り立つ調和の世界である。自然の一切は機械であり、画一的な物質からなりたっている。自然は機械であるとともに職人でもある。というのも、自然は自らを自ら自身によって産出するからである。自然を機械の比喩で捉えれば、必然的にその作り手は誰なのか、機械を動かしているものは何なのかと問わざるを得ず、デカルトにせよニュートンにせよ、その作り手を神に見出してきた。他方ラ・メトリは、自然が作り手なしに働き続ける調和を保っていると考える。
われわれの貧弱な悟性は、粗雑きわまる観察の範囲を出ることなく、原因と結果との間を領している連携を発見できないこと、これは白状しなければいけない。しかし、それは哲学者には永久に知られない一種の調和である。
自然の第一原因あるいは物質の永遠性、これらは人間にとって不可知にとどまっている。しかし、ラ・メトリは知ることのできないものは知らずともよいと断言する。というのも、その不可知の認識をめぐって宗教戦争さえ引き起こされ、たえず争いを生むからである。ラ・メトリいわく、機械論者は寛容である。