13'読書日記24冊目 『想像ラジオ』いとうせいこう

想像ラジオ

想像ラジオ

キンドル版で読了。
震災もの、というのは何かで読んで知っていて、しかも「想像ラジオ」というからにはやはり想像力が必要だ!系のちょっとうざい感じかと思って読むのをためらっている人に言うと、確かに「想像力が必要だ」系のことは書いてあるけれども、その深度、伝えたい事柄の深度は、あなたの「想像」を超えている、と僕は思うので、ためらうのだったら、読んだほうがいい。
構想の巧みさも、議論の掘り下げられ方も、これができるのが小説なんだと驚かされる。少なくともあからさまで惨めな内容に終わった園子温ヒミズ』より(これは映画だけれど)、僕は断然評価する。明るい口調のDJが語るリズム良い、小気味いい文体に載せられて、あっという間に読んでしまえるけれど、かのDJが語る言葉の響きが、僕のなかでまだ成っているような気になる。

何度か、泣きそうになったけれど、それだけは違うと思って、こらえた。