'13読書日記43冊目 『マックス・ヴェーバー入門』山之内靖

マックス・ヴェーバー入門 (岩波新書)

マックス・ヴェーバー入門 (岩波新書)

246p
何気なく入った古本屋で目に留まり、読んでいた。ヴェーバーは『プロ倫』と『客観性』論文、『職業としての政治』を読んだだけで、その他膨大な数の本のことはよく知らない。しかし『プロ倫』にはワクワクさせられたし、その主張の妥当性をめぐってなされた論争(『マックス・ヴェーバーの犯罪』という糞みたいなタイトルのルサンチマンに満ち満ちた本をきっかけになされた)も知っていた。それで、以前からヴェーバーについては関心を持っていたのだ。
本書は、言わばヴェーバー学、ヴェーバー思想学入門といった趣の本で、僕が求めていたものとはちがった。求めていたのは、ヴェーバー社会学が提示する近代の論理を深く理解させてくれるものだったのだが、本書では、ヴェーバーが何を考えていたのか、どんな思想を持っていたのかという、言わば人となりに重きが置かれる。ヴェーバーの人生の歩み――神経症の羅患と回復――に合わせて著作時期が区切られ、思想内容の変遷が語られるのだ。それに対して僕が求めていたのは、ヴェーバーのテクスト内部の論理構造であり、当時の論争の状況であったのかもしれない。とにかく、本書ではヴェーバーの人と思想が語られる。ヴェーバーを社会科学者として見ていた僕にとって、こういう発想はあまり頭に無く、彼の近代化論と近代批判が社会学的に見てどうなのかを知りたかったのだけれど、そういうことは教えられなかった。本書ではヴェーバーニーチェを引きつけて読むプロセスがなされるのだけれど、ヴェーバーが社会科学者なのであれば、そのように簡単にニーチェに引きつけて読んでいいものなのだろうか。