'14読書日記15 『理性への希望――ドイツ啓蒙の思想と図像』ヴェルナー・シュナイダース
理性への希望―ドイツ啓蒙主義の思想と図像 (叢書・ウニベルシタス)
- 作者: ヴェルナーシュナイダース,Werner Schneiders,村井則夫
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2009/04/01
- メディア: 単行本
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特徴的なのは、ドイツ啓蒙の中期(ヴォルフがまだ生きているあたり)くらいまでに哲学書に用いられていた、扉絵の図像を解釈することで、哲学者らの論争を理解しようとするものである。おそらく、哲学書の扉絵として最も有名なものは、ホッブズの『リヴァイアサン』のそれだろう。そして、現代では、図像を利用して大衆に自らの哲学思想を広める文化はほぼ途切れてしまっている(あってもせいぜい馬鹿にされるくらいのものだろう、が例外もいくつか思い当たる)。しかし、18世紀半ばくらいまで、哲学書の扉絵には、筆者が指定した図像が用いられていたのであり、それが自らの思想を簡便に表現するのに好都合だと考えられていたようなのだ。