'14読書日記22冊目 『つながりの作法』綾屋紗月・熊谷晋一郎
- 作者: 熊谷晋一郎
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2009/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 85回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
- 作者: 綾屋紗月,熊谷晋一郎
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2010/12/08
- メディア: 新書
- 購入: 9人 クリック: 165回
- この商品を含むブログ (28件) を見る
本書『つながりの作法』では、そうしたつながりすぎる身体とは真逆の身体、つながらなさすぎる身体を持つアスペルガー症候群の患者・綾屋紗月が熊谷とともに、むすびつきながらもほどけあう身体を生み出していくにはどうすればいいのかを、自らの体験を踏まえて考察している。鍵となるのは、当事者研究である。この言葉が(本書で)意味するのは、「当事者を研究する」ということではなく、「当事者(たち)が(自らを)研究する」ということである。どういうことか。イメージ的に語れば、何かを研究するということは、その対象にべったりとくっつきすぎている状態から身を離し、俯瞰的にその対象に接近し、理解するということである。当事者研究が焦点を当てるのは、この研究プロセスにつきものの、つながりつつ適度な距離を持って対象に接近するという距離感である。当事者が、自らの身体・症状を「研究」し、対象化し、理解するプロセスを経ることで、身体を、そして対他的に存在する環境を、別なものへと変えていくのだ。
綾屋の淡々と記述された心理情景を読んでいると、ぐううっと身体が締め付けられるような、これは私でもありえた、というような感覚に陥って、読み終わった後はしばし呆然とした。