'15読書日記4冊目 『大転換』カール・ポラニー

[新訳]大転換

[新訳]大転換

旧訳で読んだ。18世紀をやってるだけだと狭窄的になりがちな視野を拡大してくれるように感じる。やっぱり19世紀をどのように考えるのかというのは、大問題中の大問題。18世紀は19世紀への萌芽としての面ももちろんあるのだが、それをどういう種類の萌芽と見るか(良いものか悪いものかあるいは?)というのは19世紀をどのような時代ととらえるのかという視座抜きには出てこない。ポランニーは、市場経済の全面化(悪魔のひき臼)とそれに対して必然的に生じた社会防衛の様々な諸相から、ファシズム的危機が生じたことを概ね指摘するのだが、「社会防衛」というとどうしても「社会は防衛されなければならない」というフーコーのあれを思い出し、比較してみたくもなる(そういうものが読みたい)。社会防衛の機制(典型的にはスピーナムランド法が挙げられている)は、自由主義者から見れば保守反動的で、進歩を阻害するもの以外の何物でもないのだが、ポラニーはそうしたリアクティブな運動に、急激な進歩を緩和させる働きを一方で見ている。ここのところ、あまり言及がなされない点だとは思うが、興味深い。