07読書日記9冊目「R62号の発明・鉛の卵」
- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1974/08/27
- メディア: 文庫
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短編集です。思索的・方法論的に冒険に富んだ作品集です。全体を貫くテーマとして「生と対極にある死、死を相対化する死体」ということがあるでしょう。難しいこと書いてますが、安部公房のすごいところは簡潔な表現や凄腕のストーリーテリングで加速度を付けていくところでしょうか。表題の「R62号の発明」では、人間に機械化(サイボーグ化)されてしまった「機械技師」が、機械を発明して人間に復讐する、という複雑な構図を描き、「鏡と呼子」では見られている事は逆に見ることである、という入り組んだ構造を描いています。「R62号の発明」は読みにくかったのですが、だんだん話を読むうちに、文章リズムに慣れてきたのかすらすら読めました。
僕が好きな作品は「鏡と呼子」、「鉛の卵」。これは先駆的SFとしても読めるし、SFと袂別している点は、あくまでその哲学的主題に重点が置かれているところです。
364p
総計2796p