'11読書日記82冊目 『批判と危機 市民的世界の病因論』ラインハルト・コゼレック

批判と危機―市民的世界の病因論 (フィロソフィア双書)

批判と危機―市民的世界の病因論 (フィロソフィア双書)

324p
総計24496p
批判(Kritik)と危機(Krise)の語源から遡って、絶対主義から啓蒙主義の批評が、啓蒙主義の批評がフランス革命の危機を呼び込むというストーリーになっている。シュミットの弟子だった人で、啓蒙主義に対する批判があからさまなのだが、第一章「啓蒙主義の前提としての絶対主義の政治的構造」第二章「絶対主義国家における彼らの状況に対する解答としての自己理解」は非常に面白い。特に、絶対主義と啓蒙主義を担っていたフリーメイソンの関係を描いたあたりなどは焦眉の面白さだと思う。が、第三章「批判と歴史哲学」は「啓蒙主義の偽善」とか「道徳と政治の弁証法」というフレーズあたりから怪しさ満点と言うか、何か聞いたことある話になってしまっていてちょっと残念。注が詳細で、それを見ていくのも楽しい。ルーマンのゼマンティクのネタ本らしいのだが、むしろハーバーマスの『公共性の構造転換』のネタ本でもありハーバーマスたんが批判的に乗り越えようとしたのがこの本なのだと思う。無論、どちらも(途中まで)すごく面白い。