08読書日記67冊目 「有限責任会社」デリダ
- 作者: ジャックデリダ,Jacques Derrida,高橋哲哉,宮崎裕助,増田一夫
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2003/01/01
- メディア: 単行本
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結局、おぼろげながらわかったんは、エクリチュールには「反覆可能性」ってのがあって、それはつまりエクリチュールは反復されうるし、同時に「反覆」されうる、ということです。出来事とは、哲学的に「一回きり」の体験ということです。しかし、それを文字に起こした瞬間、あるいは音声として発話された瞬間、その出来事は「反復」=「反覆」される地平に引きずりこまれます。つまり、その出来事は、心内に現象として去来したときの直観で捉えられた地平からはズレていき(差延)、まったく違うコンテクストで再現されうるし、かつて全体的なコンテクストのなかに位置づけられていた時の「意味」からは、ますます離れていく、ということです。さらに言えば、それは「反復」されることで、「出来事」本来の哲学的定義であるところの「一回きり」というものを裏切ります。そういう意味では、アイデンティティを照明するところのものであるはずのsignatureも、エクリチュールとなったときには、同じように「反覆可能性」に犯されてしまい、本来的な「アイデンティティ」の意味からはずれこんでいくのです。
ということなんじゃないだろうかしら・・・。もっといえば、エクリチュールに内在する権力の話とか、法として書かれた言葉のなかに潜む政治性の話なんかも、理解したいのだけど、それは次に読むべき『法の力』に譲ることにしましょう。
けど、わからないなりに、デリダの辛辣な議論って言うのはスリリングで、とっても読み物として面白いんやよね。だからくじけず読めました。あー、もっと二項対立論に対する彼の考え方がわかりたい。ほんで、討論の倫理について知りたい笑
347p
総計18566p