'13読書日記38冊目 『三四郎』夏目漱石

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

kindleで読了。『門』『それから』と三部作と言われているのだが、まあそういうことはどうでもいい。『門』『それから』がやや思念的な方向へと傾きであったのに対して、『三四郎』は割とストレートな青春・恋愛小説という感じである。「偉大なる暗闇」だとか「迷える子羊(stray sheep)」などキャッチーなフレーズが、キャッチーなままにとどまらずに物語のテーマと密接に結びつく。三四郎の意気地のない感じとか決心がつかない(ついたときには遅すぎた)ことなど、拙速に情愛を結ぶことに慣れた僕らからすれば非常にイライラさせるのだけれど、その焦らされ具合も良い。